高校野球を終える寮生へ~食を通じて生まれた絆と感謝、寮母としての想い

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2025年8月2日。初めての寮生を「卒寮生」として送り出しました。

初めての寮母として関わった彼のことは一生忘れないでしょう。
感謝の気持ちがたくさんあふれた日でした。

彼との出会いは2023年12月のはじめ。
まだ私は商社OLの仕事と寮母をかけもちしていたころに遡ります。
ヒョロヒョロだった1年生の彼は、目の前の大きな皿にてんこもりにされた、きのこパスタとキャベツサラダの前でため息をついていました。
「貸して。作り直してあげる!」とスープパスタとお好み焼きに変身させて提供したとき、
一気に顔がパァッと明るくなって「美味しいです!」と言ってくれたあの笑顔を今でも覚えています。

広い部屋で一人で食べる食事。
食べても食べてもなくならないおかず。
聴くと、毎食の食事の時間が苦痛だったと言っていました。

「これから毎日作りに来てください!」

私が初めて寮母としてデビューした日、彼は私を認めてくれました。
自分が即興で作ったものでこんなに喜んでくれるなんて。私を必要としてくれるなんて、胸が熱くなりました。
前職で「必要とされていない」と打ちひしがれてストレスを感じていた私は
寮母という天職に出会い、感動を覚えた日でした。

それから3か月間、ふたりで食卓を囲む日が日常となりました。
話に夢中になり、私の帰宅が最終電車になったことも。あの時間は楽しかった。
栄養バランスを考えた食事づくりを通じて、自分の子ども以外の人に提供する難しさと共に喜びを彼は与えてくれました。


当時のメニュー。まずは食事に興味をもってもらうのが目的で品数多めでした。

それから学年があがり、後輩が一気に増えて寮も引っ越し、大変なことのほうが多かった日々。
怒られ役にもなってくれました。理不尽なこともあったと思います。よく頑張ってくれました。

そんな中でもキッチンに今日あった話をしに来てくれる時間が好きでした。
孤独な想いに私は寄り添えることができたかな。

3年のナツタイが始まり、いつかは・・・とそれまでは思っていたけれど、初戦敗退で、覚悟はしていたけれど
終わりがくるという現実をいきなり突き付けられたようで、自分の気持ちがまだ整理つかず・・・
スタッフに相談して「卒寮式」という形で送り出そうと決めて、スタッフや後輩たちにも協力して頂き、
7月28日。ひとつの節目として彼を送り出すことができました。
最後のメニュー。それは彼が「ヤバすぎる」とほめてくれた、チキン南蛮にしました。

(最後のメニュー:チキン南蛮・マカロニサラダと白和え・厚揚げと切干大根と人参の味噌汁)

8月2日。最後の荷物を積み終わった後、私は撮りためていた寮メシ記録を抜粋して作った動画を彼に贈りました。
目を潤ませて観てくれていた彼の表情、一生忘れません。

「この寮で、よかった。」

最後にそうつぶやいたお母さまの言葉が、私の全ての苦労を包み込み、昇華してくれました。
この一言が、「全て」です。
かけられた言葉は私へでしたが、私だけの力ではありえません。
スタッフのみなさまが一緒になって支えて下さったからこそ、この言葉をかけてくださったのだと。
改めてスタッフのみなさまに感謝しています。

きっと、彼にとっても私にとっても共に寮で過ごした日々は一生忘れないでしょう。

私を寮母にさせてくれて、ありがとう。

感謝の言葉はいくつあっても書ききれません。

そして私は今日もまた、在寮生に向けてパフォーマンスアップする献立をワクワクしながら作っています。

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